朝夕の陽ざしに小さな秋の気配を感じる頃9月。今回は「重陽の節句」にふれてみたいと思います。
9月9日は菊にまつわる「重陽の節句」。数ある日本の御節句の中でも知られていない事が多い節句ではないでしょうか。
菊の原産地は中国、その歴史は3000年以上と言われています。

日本への伝来は遡ること奈良~平安時代。
当時の菊は薬草として伝わり、解毒・消炎・鎮静効果のある生薬とし用いられていた様です。
薬の存在しない当時、不老長寿の象徴として大切に扱われていました。
菊の節句としては中国発祥の「陰陽思想」が深く関わっています。
9月9日は、縁起が良いとされる奇数(陽数)のなかで最も大きな数字「9」が重なることから「重陽の節句」と呼ばれお目出度い日(吉日)とされ、江戸時代に日本の御節句の一つとなりました。
現代の五節句は
一月七日 人日の御節句 (別名「七草の節句」)
三月三日 桃の御節句 (別名「雛祭り」)
五月五日 端午の御節句 (別名「こどもの日」)
七月七日 七夕の御節句
九月九日 重陽の御節句
重陽の節句は宮中ではとても華やかに執り行われたそうです。
菊の花を真綿で覆って香りを移し取り、翌朝、朝露を含んだその綿で顔や身を拭って不老長寿を祈願したという「着せ綿」という風習もその一つ。
菊の花を浮かべた酒を飲みお祝いをされたそうです。

春分と同じように太陽が真東から昇り真西に沈み昼と夜の長さが同じになる日です。
ここからだんだんと昼より夜の長さが長くなり、次第に秋冬へと季節が移り変わっていきます。
私もこの頃に初秋の”単衣着物”を予定に合わせて支度をはじめます。
最近では9月後半まで夏物でよい気候ですが・・・
私の単衣への移行は日中の気温が30℃を下回ったら単衣と決めています。
9月に入ってから夏物の絽、紗を着る時には必ず”羽織物”を着ています。
羽織、道中着、道行などです。当店でも多数ご用意しておりますので是非、オンラインショップを覗いてみてください。

今や昔の教科書通りの装いで着物生活は成り立ちませんね。
五節句をしめくくる「重陽の節句」。
一輪でも素材感のある菊の花。
9月9日は花屋さんで菊の花を買い求めて、月明かりの下で重陽の節句を静かに楽しんでみたいものです。
皆様はどの様に過ごされますか。忙しさに翻弄されず自分時間を大切に古の日本の様子を想像し過ごしてみたいものです。
まだまだ残暑が厳しい9月。くれぐれもご自愛いただきお健やかにお過ごしくださいませ。

有限会社一昌 「セレクトきもの一昌」 伊藤昌子


