12月のコラム【煤払い】

年の瀬も押し迫り、今年も残りわずかとなってまいりましたね。年末の慌ただしい日々、皆様いかがお過ごしでしょうか。

12月も半ばになると大掃除に取りかかるというお宅も多いかと思いますが、ちょうど同じころ(一般的には毎年12月13日)各地の神社や仏閣でも畳や天井、仏像などの埃を払う「煤払い(すすはらい)」が行われます。長い笹竹の先に葉や藁をつけた「煤梵天（すすぼんでん）」と呼ばれる道具でお社の天井や屋根を掃除する様子を目にすると「今年も残りわずかだなぁ」と感じます。

ここ関西では、京都の東本願寺と西本願寺で行われる特徴的な煤払いが有名です。こちらは阿弥陀堂と御影堂に分かれ、各堂内に集まった100人以上の僧侶と門徒たちが一斉に割り竹で畳を叩き、舞い上がるほこりを全長2メートル以上もある大うちわで外へあおぎ出すというダイナミックなスタイル。室町時代から続くこの伝統的な煤払いは京都の冬の風物詩にもなっています。

現代の「年末の大掃除」の起源となったこの煤払いですが、もとは平安時代の宮中行事で、単にちりや埃を払うというだけでなく、お正月に年神様をお迎えするにあたり一年の汚れとともに悪鬼をはらい清めるという神聖な行事だったそうです。現代でも、掃除を行うと心も整うとよく言われますが、実際に年末の大掃除を終えた後には清々しく神聖な気持ちで新年を迎えられることを考えると、清掃を神事と捉える考え方にも納得です。我が家の大掃除は、毎年師走の忙しさにかまけてついつい年末ギリギリになってしまうことが多いのですが、この煤払いの行事に習い今年は少し余裕をもって始め、そして丁寧に行なってみたいと思います。

皆様も、大掃除など新年を迎える準備で忙しい日々をお過ごしのことと存じますが、どうかお身体を大切に、健やかにお過ごしくださいませ。皆様が穏やかな新年を迎えられますよう心よりお祈りしております。

文章：一昌スタッフ・塚本